金属基板スーパーミラーの研究

Nagoya University

リンシェーピン大学のフレドリック・エリクソン准教授と名古屋大学の北口雅暁らは、従来の限界を超える多層中性子ミラーの開発に向けて実際的な共同研究を開始しました。日本では大強度加速器中性子源J-PARCが稼働しており、中性子を用いた物理学の新しい研究が今まさに行われています。スウェーデンではさらに強力な加速器中性子施設ESSが建設中です。成果を最大化するためには、中性子の利用効率を高めることが重要です。中性子ビームの輸送には多層膜中性子ミラーが使用されますが、多層膜の周期を短くすることで、より高エネルギーの中性子にミラーを適用することが可能になります。ミラーの基板に金属を用いて放射線耐性を向上させることで、中性子源の近傍にミラーを挿入することができ、中性子取り出し量を増加させることができます。リンシェーピン大学は、短周期多層膜製造の研究を続けています。日本の理化学研究所は中性子ミラーに必要な表面精度を持ち、リンシェーピン大学の装置の技術的制約を満たす金属基板を準備しました。中性子ミラーの性能評価は名古屋大学が担当します。中性子反射率測定はJ-PARCまたは日本の研究用原子炉で行われています。この共同研究により、将来の中性子実験に新たな可能性が開かれます。参加メンバーの一人は博士課程の学生であり、本研究に関連するテーマで博士号を取得しました。

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